いったりきたりの話

ぬるっとした文章と写真を上げます 

The Act of Killing を観た

 全然纏まらないが、思ったことを書きます。映画を観てから読んでください。












かれは自分の後悔を表明したがっている。
暴力を振るって、人の尊厳を傷付け、そして命を奪った事への後悔を表明したがっている。

過去に行った拷問や殺人を自ら演じた彼は、過去の自分を体験する。今度は暴力を見せ付けられ、振るわれる側としてそれを体験する。


演じ終わった後や、撮影したビデオを見る時に彼は言葉を継ぐ。過去に振るった暴力について仲間と冗談を言い合ったり、理屈を付け、それを正当化しようとする。客観的に、その映像のもたらす印象を評価しようとする。しかし彼の目は宙を泳ぎ、生気を失っている。身体は硬直して、拒否の姿勢を露わにしている。


人間には欲望が備わっている。それを叶える方法はいくつかある。暴力という方法もある。彼はその方法をとった。その結果、言葉にならない後悔を感じている。


このことを受け止めなければならない。


序盤で彼は針金を使った絞殺の方法を実演した。映画の最後で再びそのバルコニーにやってきて、首を絞めた針金を手にとり、かつて死体に被せた麻袋を掴んでカメラに向けた。そしてうわごとを言う。

その時彼は吐き気を催している。背中を曲げて、必死に何かを吐こうとしている。しかし、ついに彼の口からゲロが出ることはなかった。